人間は加齢に伴い、身体面だけではなく精神機能も老化していきます。精神機能が老化する原因は、様々な能力の損失が挙げられます。例えば、重篤な身体疾患や慢性疾患によって日常生活動作が低下すると、精神機能が脆弱化するのです。また、心理社会的な要因も関係しています。配偶者や友人との死別、生きがいや社会的役割の損失、社会的孤立感の増大など、様々な喪失体験がストレスとなるのです。精神機能が老化すると、軽度認知機能障害、老年期うつ病、せん妄などの心の病気を発症するリスクが高まります。そのため、高齢者の心のケアは重要になるのです。
具体的なケア方法としては、まず本人をよく理解することが大切です。本人の心の状態や人間関係など、何も分からないままではケアの仕様がありません。ただ、これらもストレートに聞き出すのではなく、慎重かつ謙虚に対応しましょう。高齢者は、長年積み上げてきたプライドがあります。自分より若い人間に一方的に励まされるのは、プライドを傷つける原因にもなるのです。本人を十分敬って、少しずつ情報を得ましょう。
次に大切なのは、本人の状況に合わせてケアすることです。話せる状態でない場合はそっと見守り、不安そうな時はそれとなく聞いてみましょう。会話だけではなく、些細な表情の変化や行動からも読み取ることがポイントです。このように、高齢者の心のケアは決して簡単にできることではありません。しかし、心をケアして守ることで、残りの人生を豊かに生きることができるでしょう。